毎年、お盆になると、母の実家では「お精霊さん(おしょらいさん)」を迎える行事があります。
母の実家は天台真盛宗で、この時期になると、ご先祖さまが家に帰ってこられると考えられています。

お盆のあいだは、蓮の葉の上に野菜や果物をのせてお供えをし、小さなお皿に精進料理を並べます。
朝、昼、晩と、一日三度。
「どうぞ召し上がってくださいね」と声をかけながら、食べ物のお世話をします。
まるで、ご先祖さまが家族の一員として、しばらく一緒に過ごしておられるような気持ちになります。
滋賀県竜王町では、天台宗や浄土宗のお宅で、このようなお盆の過ごし方をされているところが多いようです。
ちなみに、我が家は浄土真宗木辺派の門徒なので、「お精霊さんは帰ってこられない」という考え方になります。
同じ地域に住んでいても、宗派によってお盆の迎え方が違うのは、なかなか興味深いところです。
「お精霊さん」という呼び名
「お精霊さん」は、「精霊(しょうりょう)さん」からきた言葉だそうです。
それが、いつの間にか「おしょうりょうさん」「おしょらいさん」と、土地の言葉に変わっていったのでしょうか。
こうした呼び名ひとつ取っても、長い時間の流れを感じます。
8月13日の朝に家へお迎えし、15日の夕方になると、またあの世へ帰っていかれる。
そのため、15日は「お精霊さん送り」の日になります。
糝粉餅(しんこもち)のお話
お供え物の中に、「糝粉餅(しんこもち)」というものがあります。
お米を乾かして粉にし、水でこねて、蒸して搗いたものです。
こちらでは「おしんこ」と呼びますが、お漬物の「おしんこ」とは別ものです。
昔、祖母から聞いた話では、お精霊さんは、あの世に帰るときに
この「おしんこ」や茄子などのお供え物に乗って帰っていかれるのだそうです。
そのため、糝粉餅は馬の鞍の形に作るのだと教わりました。
その話を母や叔母にすると、「へぇ、そんな話は知らんかったなぁ」と。
同じ家でも、知っている話、知らない話があるものですね。

お精霊さんを送る
8月15日。
この日は、みんなで川の畔まで、お精霊さんを送りに行きます。
昔は、そのまま川に流していたそうですが、今では川が汚れるため、それはできません。
形だけでも、気持ちを込めて「どうぞ無事にお帰りください」と手を合わせます。


火を使う行事でもあるので、火の始末には特に気をつけます。
叔父の話では、以前、草が乾燥していたため、火が燃え移り、危うく火事になりかけたこともあったそうです。
幸い、民家はなく、河原だけで済んだようですが、それ以来、みんな慎重になりました。
おわりに
こうしてお精霊さんを送り、お盆も終わりです。
毎年同じことをしているようで、少しずつ形が変わり、話も忘れられていきます。
それでも、「迎えて、もてなして、送り出す」という気持ちだけは、今も変わらず残っています。
今年のお盆は、どこへも出かけず、家でゆっくり過ごしました。
少し疲れがたまっていたので、いい休養になりました。
また明日から、日々の暮らしを大切に、ぼちぼち頑張ろうと思います。
